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藤川桂介作品リスト

1969年 ムーミン
1971年 アンデルセン物語  さすらいの太陽(原作)   天才バカボン
1972年 マジンガーZ  新ムーミン
1973年 ワンサく  キューティーハニー
1974年 星の子チョビン  グレートマジンガー  宇宙戦艦ヤマト
1975年 わんぱく大昔クムクム  UFO ロボ グレン ダイザー  鋼鉄ジーグ
1976年 マグネロボ ガ・キーン  超電 磁ロボ・コンバトラーV  まんが世界昔ばなし
1977年 超人戦隊バラタック  氷河戦士ガイスラッ ガー  グランプリの鷹
1978年 銀河鉄道999  一休さん   新エースをねらえ!  宇宙戦艦ヤマト2
1979年 ザ・ウルトラマン  さすらいの少女ネル
1980年 銀河鉄道999スペシャル「永遠の恋人エメラルダス」「君は母のように愛せるか」
     チルチルミチルの冒険旅行  マリンスノーの伝説  鉄腕アトム  太陽の勇者 鉄人28号  宇宙戦艦ヤマト3
1981年 野生の呼び声ほえろバック  新竹取物語1000年女王  どんべえ物語  六神合体ゴッドマーズ
1982年 機甲ダイラガーXV  キャプテン
1983年 プラレス3四郎  キャッツ・アイ   プライムローズ
1984年 Gu-Guガンモ  ガラスの仮面
1985年 超獣機神ダンクーガ  童話めいた戦士ウィンダリア





辰巳出版70年代TVアニメ検証第二弾「オレはグレートマジンガー!」掲載インタビュー

藤川桂介
 昭和9年6月16日生まれ。東京都出身。慶応大学在学中に放送作家としてデビュー。その後、 ドラマ、特撮、アニメー ションの脚本を手掛け、小説も執筆。脚本家としての代表作は『怪奇大作戦』『宇宙戦艦ヤマト』『六神合体ゴッドマーズ』。小説家としての代表作は『宇宙皇子』。近著に『シギラの月』がある。

●前作から引き続いて『グレートマジンガー』の脚本を担当なさっていますが、あの劇的な交代劇というのは、どのようにして生まれたんですか?
 東映との相談の上です。『マジンガーZ』を長くやってきたものだから、グレードアップしないと面白くないんじゃないかとか、時代の要請とかがあって。スポンサーからの要請もあったかもしれないけど(笑)。で、東映から「交代させたい」と言われて、「どうするの? 引退させちゃうの?」という話し合いの中で、すり替わる形になったんです。

●時代の要請というのは?
 脚本を書く側から言わせると、変えろと言われた時は、時代の流れやいろんなものを背負い込んだ上で来るのね、局から。 『マジンガーZ』の時代は、田中内閣で、日本が勃興してる時。だから街を破壊しても、爆発的なパワーの1つとして、みんな目をつぶってくれるというか、咎めることはなかった(笑)。ところが、『マジンガーZ』から『グレート』に変わっていく時にね、三木内閣に変わったんだよ。 内閣の在り方とアニメーションというものがね、関係なさそうで、実にあるなぁと思った。三木さんになった途端、局から街を壊すなって。田中さんの日本列島改造論でドンドン改造してた時代から、急に反省期になるわけ。『マジンガーZ』の時は研究所が町中にあったわけだから、敵が攻撃に来たら街を壊すじゃない。それが急に、無闇に街を壊すな、公害に値するようなことはやるなと。当然、番組に影響するから設定を変えなきゃいけない。時代の要請が微妙に影響してくるのを背負いながら性能アップして、果たして面白いのかと、非常に『グレート』は大変だった。書いててわかったんだけど、一見、グレードアップすると良さそうじゃない。ところが、段々つまらなくなるんだよ。するとね、「やっぱり『マジンガーZ』は良いな」と思うんだよね(笑)。確かにグレードアップして、 スピードもアップし、パワーも付いた。でも、メカの方が重点的になると、人間が入り込む余地がなくなるわけよ。そうすると、知恵を絞ったり、工夫したりして敵と戦うという、その辺の面白さがなくなるんだよね。人間が知恵を絞りながら敵と戦うから面白いわけだし、戦っていく間に、ボスみたいなバカが出てくるからまた楽しいんだよ。そういう部分が排除されてしまう。お話作りとういう点で言うと、人間の肌触りが残ってる方が、面白いのが出来ると思うんだよね。

●そういう制約の中、どのような工夫をなさったんですか?
 敵をどうするかになるわけよ。地上に降りてきて戦うわけにいかないから、研究所も移せってことになるわけ。街にあるから街を壊さざるを得ない。で、街のないとこに移しちゃう。そうすると、敵が襲って来ても、アクションで見せて迫力を出すための場がないじゃない。原っぱで戦っても、面白味がないじゃない(笑)。するとしょうがないからさ、空へ出て行くしかないわけよ。すると、段々人間の生活から離れて行くんだな。『グレー ト』になってからは、脚本家としてはつらかった。本来のアニメーションの面白さみたいな、爆発するエネルギーみたいな発散どころが段々なくなるんだよね。 難しいっていうか、燃えてこないのね(笑)。街も壊れるけどさ、そういう中で助け合ったり、うまくいったぜ! っていう喜びが良いんだよ。だから、空での戦い方を工夫するか、人間ドラマの方に行くしかないんだよね。『グレート』になると、プロフェッショナルが登場しちゃうで しょ。プロフェッショナルが出ちゃうと、慣れきっちゃうだろ戦闘に。しかも、学生でプロフェッショナルとはちょっと言いにくいから、年齢を上げなきゃならない。すると、やっぱり人間ド ラマに行かざるを得ないじゃない。やっぱりね、原点が一番良い。『マジンガーZ』だけでなく、他の場合もそうですよ。続きを 書くと、たいていダメなんだよな(笑)。作り手はさ、最初に良いもんドンドン出しちゃうでしょ。だから、細工しようとする分だけ、いろいろな意味でパワー が落ちちゃうんだよ。続けろって言われると、本当に苦しい。爆発して行く力がなくなるんだよね。

●『マジンガーZ』の話になってしまうんですけど、ボスがすごい人気を得ましたが、あの人気は偶然だったんですか?
 僕は狙ってましたよ(笑)。なぜかね、あぁいうキャラクターを書くの大好きなんだよね。とにかくボスが好きだったんだ よ。あのアホらしいところがすごい好きでね。書いててドンドンドンドン膨らんじゃった人だから(笑)。初めは、「極普通の三枚目のキャラクターが付いてます」って、そのぐらいの認識だったんだよね。でもやってるうちに、こいつを上手く使わないと面白くないと思ったんだよ。思いっきり生かすことを考えたんです。ボスが『グレート』に出たのも、いかに人気が出たかだよね。あぁいうのがいないと救いがないのよ。プロフェッショナルとプロフェッショナルの戦いになるとホッとできないし、人間ドラマの方に持ち込んだから、楽しんで息を付くことも出来ない。アハハハって笑える部分がないじゃん。ボスは大事な役割だったよね。

●藤川さんでなければ、あそこまでのボス人気はなかったと言えますよね。
 う〜ん、どうかな(笑)。でも恐らくね、違うボスになってたとは思う。そのぐらい、ボスを好きになっちゃったもんだからね。初めは戦闘にも参加しないという、あまり重要な位置にいなかったからね。でも途中から、ボスは欠かせない役割になったよね。

●ボスのおネエ言葉や、登場の掛け声も藤川さんなんですか?
 あれはね、声優さんが作ってる。僕らあんな台詞書いてないもん(笑)。声優さんが工夫したんだよ。その内、アフレコでそういうのが出てくるから、だったらそういう風にしようねってなって。それはやっぱり、声優さんがそういう台詞を思わず吐いてしまうほど、あいつが動いてたんだと思うんだよな。雰囲気を出してたと思うんだよ。だから思わず出てくるんだろうね。
 僕はね、原作者がいる場合は、原作者が何を狙っているのかをきちんと把握するのが、ライターの一番大事なことだと思うんだよ。どういう形にして書くかはこちらの問題だけども、まず原作者の気持ちみたいなのを、マジンガーならマジンガーを作った思いというものを理解して、それを表現するにはどうやったら一番良いのかを考えますね。よく豪ちゃんが、「『マジンガーZ』は藤川さんと出会って幸運でした」と言ってくれるんだよね。そういう意味じゃ、マジンガーを理解して書いたと思ってる。『マジンガーZ』の時にね、家の前をお父さんと子供が『マジンガーZ』の歌を唄いながら銭湯に行くんだよ。僕、家で書いてるだろ。その前をお父さんと子供がね、「マジンゴー」って言いながら歩いてるんだよ。これはもう嬉しかったね。こんな風に、僕らが書いている番組を見てくれてるんだなぁと。だから『グレート』に変わった時に、それなりに最期までまっとうしたいと思ったのね。無様な形でマジンガーを終えたくない、なんとか良い思いを残しながら書きたい。良いイメージのままで終わりたいと。僕はね、『マジンガー Z』の素朴さが洗練されて、少し大人になった形で描かれているのが、『グレート』だと思うんだよな。僕の中で『グレート』は、『マジンガーZ』の続きだと思ってる。別物とはあまり思わないんだよ。もしグレードアップだけがあって、いろいろな制約がなかったら、また違ったと思う。もしかしたら爆発したかもしれないんだよ。

●『マジンガーZ』を超えたもしれない!
 超えたかもしれない(笑)。そういう面白さは、ちゃんと用意したんだよね。豪ちゃんの方も、 そうした理由でデザインを考えたと思うのね。破壊していけないとかは別にして。制約がなければもっと面白くなったと思うよ。戦闘慣れした奴が出てきてさ、その面白さみたいなものがやれたら、『グレート』をもっと面白くすることはできたはず、という思いはある。『グレート』はもっと魅力的だったんだよ。 せっかくパワーアップしたのに、なんでそれを生かすことができないのかというのが、悔やんでるとこだなぁ。せっかくあれだけ夢燃やしたのに、爆発できないまま終わるというのは惜しいね。見てた人は楽しかったかもしれないけど、作ってた方は苦しみながら作ってたんだとわかってほしいな。非常にマジンガーを愛するが故に苦しんでいたということをわかってくださいと(笑)。

●藤川さんにとって、マジンガーシリーズとは?
 アニメーションに関わって良かったなと思う作品。自分の中にある夢みたいなものを、こんなに広げられるのかというのを知った、原点になった作品だなぁ。当時のスタッフに会うとね、今もみんな楽しんでるんだよな。仕事として会っても。マジンガーは、そういうスタッフばかりの良い時期の作品だったと思う。みんな燃えてたから。そういうエネルギーを結集したものってのは、見た人の心の中に残っていくじゃない。今、あんまし楽しそうじゃないんじゃない(笑)。特撮やアニメーションの人に会って話を聞くと、スタッフ側の仕事に取り組む姿勢が、全然違ってるんだよね。今はほとんどが分業でしょ。システム化された中で、請け負ったとこだけやれば良いんだっていう姿勢が見え見えだって言うんだよ。私はここを 請け負ったんだから、それ以外は知りませんみたいなとこが。そういうもの作りやっちゃあね、白けちゃうぜ。そうなっちゃったらさ、なんか1つの作品を作りながら、みんなで燃えてる感じがしないじゃん。番組に関わった楽しさみたいなものや、「俺は関わったんだぜ!」というプライドみたいなもの、そういうのがないじゃん。それだったら「金だけもらうためにやってんのかよ!」ってなるでしょ。そりゃもちろん仕事だから、お金はやっぱり大事だよな。もらわなければいけないけれど、もらう以上はね、もの作りの人間として、夢みる部分とかさ、燃えたい部分はあるじゃない。みんなで燃えようよっていうのがチームワークの良さだろ。映像作ってて、それがないんじゃつまんないじゃない。それやってちゃ燃えてこないよな、やっぱり。関わった人がみんなカーッとなって燃えてくところが良かったんだし。だからね、若い人たちに仕事の仕方っていうのを教えてあげたい。仕事はどう作るものなのか、どう取り組むべきなのかって言うことを。もし身を引くとしたら、そういうことを教えた後で引こうと。そうじゃないと寂しくなっちゃうじゃない。僕ね、そろそろ映像の仕事にも加わる予定なんです。そういうことをつくづく感じるんでね、その時は徹底して、みんなで燃えていく作品をやってみたいと思ってるの。あの頃のもの作りの良さを残しながら、新しい時代の感性を「ぶち込む」っていうのが、僕の考えなんだよね。昔のまんまやれって言うんじゃなくて、昔の仕事の仕方の原点をちゃんと押さえて、新しい感覚を盛りなさいっていう。これからのもの作りは、もう一回原点からね、ものを作る人たちが燃えてかかってくること。そのためには、何と何を、みんなが協力してやらなければなら ないのかということをね、もう一度認識し直すということが大事だと思うんだよね。

平成11年12月16日。世田谷区内のご自宅にて。