答えられなかった質問
テレビ東京の携帯サイト「アニメX」。
そこで長年に渡ってコラムを担当したのですが、その時に、みなさんからの質問に答えてもいました。しかし中には、答えたら僕のタレント生命に支障をきたすヤバいものや、どう答えて良いものかわからない質問、1回のコラムが200文字という制限上、あまりにも長期に渡って答えを書き続けなければならないので泣く泣く却下したもの、その他、連載が終わってしまい答えられなかったもの……。
そこで、そのような答えられなかった質問の数々を、ここで紹介します!
Question.1
テレビの洋画の吹き替えで映画俳優の声が同じ声優さんでキャスティングされていると別の作品でも違和感ないけど、テレビで1度吹き替えた作品を放映する時って、放映された分だけ支払われるの? アフレコし直すの?
Answer.1
これは契約の形態によって様々なので、僕にも全てはわかりません(^^;。なので、僕が知っているだけのことを答えますね。
普通テレビ用は「放送回数は何回まで」とか、「放送回数は今後何年以内に何回まで」とかいう契約になっていて、その契約期間が切れたら、再使用料を払って再度放映するか、新たに収録し直すことになります。
テレビでの再放送やDVDなどのパッケージ・ソフトにする再使用料のことを「二次使用料」というのですが、二次使用料を払うより収録した方がメリットがある場合(制作費が安いなど)に収録し直すことが多いですね。
かつてテレビのオンエアは、テレビ局ごとに独自に吹き替えを行っていました。局の色というか、「うちは他局とは違う!」という主張だと思われます。そのために、同じ作品であるにもかかわらず、声優のキャスティングが異なるバージョンが存在するわけです。現在でも、「絶対に視聴率が取れる!」といった大型作品の場合は予算が降りるため、テレビ局が自分の局だけでオンエアするために独自で収録することがたま〜にありますが、予算の関係やらビデオの誕生などによって、ソフト販売会社である映画配給会社が収録して劇場公開し、ソフト化し、さらに各局に卸すという方法が現在の主流のよ うです。
ビデオが生まれる前はソフトといった概念がなかったため、映画といえば、劇場などのホールでの上映とテレビでのオンエアしかありませんでした。そこにビデオが誕生したため、テレビ用とビデオ用(飛行機内上映用含む)、さらには劇場吹き替え版という数種類の吹き替えが生まれることになりました。しかし、あらゆる吹き替えが独自に収録されているのは、あまりにも予算効率が悪いですよね。予算が潤沢にあった当時は何も問題が生じなかったんでしょうが、右肩上がりだった日本経済に翳りが差し始め、バブルが弾けて日本経済が崩壊すると……。
1回の収録で、劇場の吹き替え版、DVDなどのソフト、そしてテレビでのオンエア用を賄うようになった現在の吹き替え形態は、予算を抑える上での策だったんでしょうね。とはいっても、予算が潤沢にある場合はランクの高い声優を使えますが、予算がない場合はランクの低い声優を使っているので、同じ外国人俳優なのに作品によって声優が異なるということは、現在でも多々あります(笑)。
というわけで契約が切れるまでは、契約上の回数まで何回でも再放映可能で、その契約が切れたら更改され二次使用料が支払われるか、新たにアテレコをし直すということになります。なので、再放送の度に二次使用料が支払われるかどうかは、“契約形態による”というのが答えになると思います。そして前述しましたが、二次使用料を払うより新たに収録し直した方がメリッ トが高い場合に、キャスト総入れ替えみたいな形で新たに収録され直されます。
ちなみに気になるギャラですが、昔はテレビでのオンエア分のみだったのですが、現在はそれに 加え、ソフト化、劇場 公開、飛行機内上映用などといった二次使用料が契約によって含まれます。初めの契約にソフト化のみしかなかったにも関わらず、テレビ放映もすることになった場合は、そういった二次使用料が発生する度に、二次使用料としてギャラが派生します。
追伸
質問にアフレコとありますが、アフレコとはアフターレコーディングの略で、これは自分が演じた台詞を、後日スタジオで映像に合わせて収録すること。つまり厳密にいうと、アニメや外画の吹き替えであるアテレコと区別されます。といっても、アテレコはアフレコを文字って作られた業界用語なので、アテレコなる言葉が誕生するまではアフレコと言っていま した。アフレコ=アテレコと思っている業界人もいっぱいいますから別にどちらを使っても大丈夫とは思いますが、とりあえず雑学的知識として(^^;。