アニメX 051〜060
2001/09/17
Column VOL.51 アフレコ収録時の靴 その1
アテレコの仕事の場合、スタジオには3本のマイクがあるのが普通です(多いところで4本)。ところで、声優さんの身長はまちまち。どうするのかというと、なるべく低い人に合わせてマイクの高さが決められるんです。当然、背の高い人はつらい姿勢を強いられることに……。そこで、あまりにも背の低い人は、周りに迷惑をかけないよう、底が厚い(高い)靴を履いてくるんです。
2001/09/24
Column VOL.52 アフレコ収録時の靴 その2
底の厚い靴といっても、靴底が高ければどんなものでも良いわけではありません。3本のマイクを数人で使うわけですから、機敏に動けるよう軽くなくてはなりませんし、収録をしているのですから、移動の際に音がしない靴でないと迷惑をかけてしまいます。だから、背の低い声優さん同士で「どこで購入したか?」など、情報交換している姿をしばしば見かけます。ところが、スタジオの中には “土足厳禁”のところも……。
2001/10/01
Column VOL.53 アフレコ収録時の靴 その3
土足禁止のスタジオの場合は、室内履き用の厚底靴を持って来て、それに履き替えているんです。なんと背の低い人は、かさばる厚底靴をカバンに入れて持ち歩いていた! ちなみに、全部のマイクを背の低い人に合わせることはできないので、なるべく低いマイクを使えるよう、周りも協力します。しかし、どうしても低いマイクを使えない時は、背伸びという無理な 姿勢で演技を強いられることに。プロの魂を見る瞬間です。
2001/10/08
Column VOL.54 背の高い声優
逆に、背の高い役者さんはどうするのかというと、腰を曲げたり、膝を折ったり、あるいは大股開きなどをして、マイクに口を近付けて演技をしています。背の高い役者さんの方が低い人よりも圧倒的に数が少ないため、ある意味、大変のような印象を受けます。実際はどちらが大変なのかわかりませんが……。なぜって、僕の身長は169cm。一般社会では低い方ですが、収録スタジオでは丁度良い高さにマイクがあるんです(^^;。
2001/10/15
Column VOL.55 アフレコ時のマイク
さて、そんな3〜4本あるスタジオのマイクですが、それを10人くらいの役者で譲り合って(?)収録するもんですから、マイク前はシーンによっては大変な混雑。しかも、台詞数の多い人(主人公)や背のあまりにも低い人の場合、ほとんどが暗黙の了解で、その人だけの“オンリーマイク”。いや、別に一緒に使っても良いんですけど、なるべくなら、その人の演技の妨げにならないようにと、周りは気を使うんです。
2001/10/22
Column VOL.56 台本のペーパーノイズ その1
収録中、狭いスタジオ内で特に注意をしなければならないのが“ノイズ(=雑音)”。今回からは、様々なノイズについてご紹介します。まず最初は、一番多い原因である「ペーパーノイズ」。台本や原稿などの紙から出る、みなさんもよく耳する「パリッ」とか「ペキッ」とかいう音です。ページをめくる時に生じるものが、そのほとんどだと思って下さって、まず間違いありません。
2001/10/29
Column VOL.57 台本のペーパーノイズ その2
台本というものは比較的、安い紙で作られています。実はこれ、予算の関係ではなく、きちんとした理由があるのをご存知ですか? 上質の紙だと紙質が硬めのため「パリッ」とか「ペキッ」という音が出やすいんです。そこで、安価な柔らかめの紙(わら半紙)を使用することに。しかし、それでも注意してめくらないと音が出てしまうのが恐ろしいところ。ページめくりには、それなりのテクニックが必要なんです。
2001/11/05
Column VOL.58 台本のペーパーノイズ その3
ペーパーノイズを出さないテクニックは、人によって様々。マイクが音を拾わないところまで台本を離してページをめくったり、台本を引っ張ってめくったり、ふわっと優雅に台本を持っている片手だけでめくったり、めくりやすいようにページに折り目を付けていたり、とにかく収録風景を見ているだけで、ずいぶん勉強になります。でも、ごくまれにですが、一度に2枚一緒にめくってしまい、NGになることも起こります(笑)。
2001/11/12
Column VOL.59 アフレコ収録時の台本 その1
台本上、台詞が次のページにまたがって書かれている場合は、どちらかのページに自分で書き加え、台詞の途中でページをめくらないように対処します。台詞と台詞の間にノイズが入った場合には、収録後の編集という段階で消すことができるのですが、台詞を喋っている途中でノイズが入った場合は、簡単には消すことができないからです。編集段階でスタッフに迷惑をかけないようにするのも、仕事の1つです。
2001/11/19
Column VOL.60 アフレコ収録時の台本 その2
また、ページをめくりながら台本を見ていると、視点が変わってしまって台本に付いていけなくなることがよくあります。台詞がページをまたいだ場合、どちらかのページに書き加えるというのは、ペーパーノイズの発生を抑える以外に、このことを防ぐ役割もあります。画面を見、さらに口パクに合わせなければならないのが声の役者の仕事。“台本に付いていけない”ということは、かなり致命傷です。