アニメX 031〜040
2001/04/30
Column VOL.31 声優業界用語 その1
さて、収録当日の台本直しでは“専門用語”が飛び交います。フリーの僕には先輩も後輩も知り合いもいなく、声をかけてくださった音響監督さん以外には聞くに聞けませんでした。「SE(効果音)」とか 「FI(フェードイン)」、 「FO(フェードアウト)」などは普段の生活でも耳にするためわかり、「M(モノローグ)」も台本を読むと何となくわかったので良いのですが、「テレコ」 は???
2001/05/07
Column VOL.32 声優業界用語 その2 テレコ
この「テレコ」、世間一般で考えると“テープレコーダー”となってしまうんですが、会話上、そんな訳であるはずがなく、何が何やらさっぱりわかりませんでした。幸い、僕には無関係のカットだったので助かったのですが、その後、何度となく耳にする内に理解できました。「順番が逆」という意味なんです。語源はわからないので説明できないのですが……。一体、なんで「テレコ」って言うんでしょうね?
2001/05/14
Column VOL.33 声優業界用語 その3 マルセ1
今から数年前、現在と同様、年に数本しかアニメの仕事をしていない僕が、久し振りに収録スタジオに行った時のこと。その頃は、作り手の数が増えていないに関わらず、アニメの放送本数が増え、世はまさにアニメブームでした(ブームは去ったけど、今も状況は似たようなものですが(^^;)。90%以上、絵が入っている作品でのアテレコ経験しか無い僕が、絵が入っていない、入っていても 色が付いていない作品に呼ばれたんです。
2001/05/21
Column VOL.34 声優業界用語 その4 マルセ2
そこで聞いた初めての用語、それが「マルセ(表記は、丸囲みの“セ”)」でし た。僕のカットだったため、「すいません! マルセってなんですか?」と聞いてみると、スタジオ中で大爆笑が……。あまりにも初歩的な用語だったために、みんなに笑われたようです。絵が入っていないために、きっかけとして「キャラクターの名前」、あるいは「セリフ」と書かれた文字が画面に出て来るのですが、そのことを「マルセ」というんです。
2001/05/28
Column VOL.35 声優業界用語 その5 マルセ3
今では絵が入っていて、「マルセ」が無い作品の方が稀少になってしまったため、「マルセ」が無いと声を当てられない、もしくは、やりづらいという役者さんが増えてしまったとか!? 僕は、ようやく 「マルセ」に慣れましたが、「マルセ」じゃない方がやりやすいですね。ちなみに一番つらいのは、「このカットは絵があるから口パクに合わせて、次のカットは絵が無いからマルセに合わせて……」と、絵もマルセも両方ある作品(^^;。
2001/06/04
Column VOL.36 声優業界用語 その6 タイミング
「マルセ」で思い出したのが、“タイミング”もしくは“ライン”と呼ばれるも の。「マルセ」の場合、だいたい色が付いていない原・動画が撮影されているのですが、絵がコンテをそのまま撮影したものだったり、まったく入っていない場合は、黒とか赤の線が、ビニョ〜ン! と出ては消えるんです。マルセ同様「この線が出ている間にセリフを言う」というサイン。音響監督からの指示は「98カット、赤」など。
2001/06/11
Column VOL.37 声優業界用語 その7 欠番1
続いては“欠番”。アテレコ台本というものは、なんでも絵コンテを元に作られるとか。そこで、絵コンテの段階ではあったカットが「なくなってしまう!」ことも(^^;。その場合は、収録当日の台本直しの時に“欠番”という言葉で伝えられます。「4カット、欠番」というふうに。そのカットにセリフがあった人は、そのセリフがなくなるわけですから、ちょっ とショックですね。
2001/06/18
Column VOL.38 声優業界用語 その8 欠番2
で、たまにですが、この欠番が数ページに渡ることも。その場合、その無駄なページが存在することで収録に支障をきたすため、役者さんたちはいっせいにそのページを破きます!! 初めてその現場に居合わせたとき、メチャメチャ驚きました。いきなり、あちこちでビリビリ! って音が響き渡るんですから。でも、冷静に考えると、合理的な行動ですよね。必要のないページが存在することで、ミスを犯すわけにはいかないですから。
2001/06/25
Column VOL.39 声優業界用語 その9 欠番3
「欠番」ついでに関連したことを。欠番というと、絵とセリフの両方、つまり、そのカットがまるごとなくなることをいうんですが、絵、もしくはセリフだけがなくなることもあります。セリフだけがなくなった場合は問題ないのですが、絵だけがなくなった場合のセリフはどうなるのか? 多くの場合、そのカットの前か後ろのカットに入れ込むことになるんですが、入りにくい場合は、セリフに修正が施されます。
2001/07/02
Column VOL.40 声優業界用語 その10
「T・U」とは、トラック・アップの略。これは、被写体がじょじょに近づいて来るという映像。つまり、ズーム・アップのことですね。これの反対で、被写体がじょじょに遠ざかることを「T・B」、トラック・バックと言います。これらの手法が、急に近づいたり、遠ざかったりすると、頭に“Q(クイック=速い)”が付いて、クイック・トラック・アップ、クイック・トラック・バックと名称が変わります。